スマホの救急医療情報が救いに! iOS8 メディカルID

万一あなたが事故や病気によって倒れた際、あなたを治療したい救急隊員や医療関係者はあなたのことをよく知りたいはずです。それに答えられるのは、あなた自身と家族だけです。
しかし、その時あなたが一人でかつ意識がない状態だとしたらどうなるでしょうか?

その問題の解決策が一つ登場しました。

2014年秋にリリースされたAppleのスマホiPhone6のOSであるiOS8の一機能である”ヘルスケア”です。この”ヘルスケア”は健康とフィットネスのためのアプリなのですが、付属する”メディカルID”がまさにあなたの代理人になりうるのです。

”メディカルID”には以下の情報が登録できます。

スクリーンショット 2015-02-14 0.27.20

・氏名
・生年月日
・既往症(病気/けが)
・アレルギーと反応
・使用中の薬
・血液型
・体重/身長
・臓器提供の意思表示
・緊急連絡先(複数指定可)

これこそ、治療をしてくれる救急隊員と医療関係者に至急伝えたい情報です。

実はこれだけの情報を登録するだけであるならば、今までにも似たようなアプリがあったのです。しかし、そこには大きなネックがありました。
従来のモバイル端末ではせっかく上記の情報を登録していたとしても、パスコードがあるためにロック画面を通過することができず、その内容を確認することが困難だったのです。仮にパスコードがわかったとしても、どのアプリにその情報があるかを探すだけでも大変な時間を要するでしょう。
救急医療は一刻を争うのです。

Appleの”メディカルID”のブレイクスルーは、ロックされている画面からでも「緊急」ボタンを押せば、誰でもパスコードなしでダイレクトにこのメディカルIDの情報を参照できるようになっている点なのです。

さらに、Appleの”メディカルID”の強みはこの緊急医療情報を見つけるのが容易であることです。意識のない本人の所持品から免許証などが見つかる可能性はあるものの、そこから家族などの関係者を探し出すのは困難な作業だと言わなければなりません。そもそも、本人が免許証等の本人確認が可能な書類を携帯していない場合もあります。
今後、少なくともiPhoneを携帯している患者であれば、その”メディカルID”の中に上記の情報があることが推定されます。この医療情報と緊急連絡先のありかが推定できるという点が一刻を争う医療現場で重要だと思います。

このように、”メディカルID”によって緊急医療情報がわかれば、基本的な医療情報が入手できるとともに、搬送中の救急車の中から”メディカルID”に登録された緊急連絡先の氏名をタップするだけで速やかに家族と連絡を取ることが可能です。これであなたと会話ができなくても、医療関係者は家族と連絡を取った上で救急医療に着手できるようになります。

iPhoneが救世主になる可能性があります。すばらしいサービスです。
登録は簡単で、料金はかかりません。
すべてのモバイル端末に同様な機能が望まれます。

でも、紙でもかまわないのです。
iPhoneを持っていない人は上記の情報を書いたメモを財布の中に入れておきましょう。
簡単な割には、万一の際に頼りになるあなたの代理人になります。

最後に一点書き加えておきます。
“メディカルID”の使用にあたっては、他人がパスコードなしで”メディカルID”への登録情報を閲覧するリスクを考慮しなければなりません。即ち、普段の個人のプライバシーの保護と救急時のプライバシー(個人の医療情報と緊急連絡先の個人情報)の提供はトレードオフの関係にあります。どちらを優先させるかは自分自身のリスクで判断してください。どちらのメリットを選択するかは個人の自由です。

(画像はApple社  Websiteより)