「よく生き よく笑い よき死と出会う」アルフォンス・デーケン

「生死をかけてもやらなければならないことがある……」

ナチスドイツの政権下、デーケン先生の家族はナチの残虐行為を手紙に綴って、前線にいる兵士たちに送っていました。彼はそのタイプを打っていました。
見つかれば、収容所送りは間違いありません。しかし、デーケン先生の父親は上記のように少年の我が子に言ったのです…

人は何のために生きるのか。
「旅する人間」と書いてあります。生まれた瞬間から人は旅を始めます。
旅をすること即ちリスクとの共生。リスクが嫌いであるならば、逆説的なのですが、生まれて来なければよかったということになります。

彼の4歳の妹が白血病で亡くなります。
彼女は家族全員の名前を呼びながら別れを告げ、「天国会いましょう」と言って亡くなったといいます。デーケン先生は、4歳の妹は死ぬまで自分の人生の主人公であったと…

クロノスとカイロス
ギリシャ語だそうです。

時計が刻む量的な尺度のクロノス
決定的に質的な尺度であるカイロス

いつの間にか、時間に縛られている自分に気付かされます。
あたかも、時間の流れに身を任せて、ただ長く生きることに価値があるかのごとく。

2つのQOL
Quality of Life はよく聞くのですが、それはその対局の Quantity of Life の反面教師。

4つの死
肉体的な死の前にもっと恐れなければならない死がある。
1.心理的な死
2.社会的な死
3.文化的な死
4.肉体的な死

死を忌むべきモノとして逃げる日本人。それを煽るマスコミ。
死への備えのない人間が死に直面して当惑するのは当然でしょう。

しかし、山が好きな人が山で死ぬ、海が好きな人が海で死ぬ、酒が好きな人が酒で死ぬのが不幸なのでしょうか。
他人の死(命の価値)を他人が評価できるものではありません。

母校の師デーケン先生にもっと早く教わるべきでしたが、おそらく、学生の頃に聞いてもわからなかったでしょう。

私は笑って死ぬことができるでしょうか。
とてもとても、まだ自信がありません…

齋藤真衡