我が家は3LDKの狭いマンションですが、その一番広い8畳の洋室を小さなグランドピアノが占拠しています。
嫁入りしてしまった二人の娘が弾いていたものです。娘たちは3歳から18歳になるまでの15年間毎日2時間ずつこのピアノを弾いていました。
ですから、週末の夕食時に私が家にいたとしても、家族四人が一緒に夕食を取ることは少なかったのです。
最近、私は自分がどこでどのように逝きたいのか自分に問うていました。
自分勝手なのは家族は承知しているので、とりあえず場所は自宅だというのが第一条件で、最期は二人の娘のピアノの演奏を聴きながら、用意しておいたとっておきのワインを開けて家族みんなで乾杯して「さようなら〜」はどうかなと…と虫の良いストーリーを考えていました。
そんな折りに、毎月購読しているビジネス情報誌エルネオス10月号に私の考えていた最期に符合する記事をみつけたのです。
川口マーン惠美さんの連載記事「ドイツからの遠眼鏡」の「スカイプで私のピアノを聴いて、父は逝った」です。
幼い頃に彼女のピアノを聴くのが大好きだったお父さんが老人ホームで危篤状態となってしまい、弟さんの用意したiPadによってドイツにいる彼女とスカイプでやりとりすることになったのです。
お父さんの状況を察した彼女が言ったのが、
「パパ、では今からピアノを弾きます!」でした。
弟さんによるとお父さんは演奏に合わせて指を動かしていたというので、彼女の演奏は聞こえていたのでしょう。
遠くにいてもHappy Endingだったと思います。
私の最期について、娘たちはどのように書いて、伝えてくれるでしょうか。
その記事を川口さんとエルネオスの許可をいただいてPDFで掲載するので、読んで見てください。
20151015 「スカイプで私のピアノを聴いて、逝った父」 エルネオス2015年10月号 川口マーン惠美さん
Happy Ending カード No.A7 「家族関係はとても良好だ」