映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」は一つの映画とはいえ、織り込まれたエピソードが素晴らしいので、数回に分けてそのエピソードをご紹介しています。
今回のテーマは「写真の力」です。
デイジーがパリで交通事故にあってバレリーナが出来なくなった後に、ベンジャミンとデイジーは一緒に暮らし始め、デイジーはバレエのスクールを始めます。
そこに迎えに行ったベンジャミンに気付かずに、デイジーは生徒が帰ったスタジオで一人で鏡に向かってポーズを取ります。
「綺麗だ…」ベンジャミンはつぶやきます。
そして、ベンジャミンはデイジーの肩を引き寄せ、鏡に向かってこう言うのです。
「この姿を覚えていたい。」
写真を撮ったのではありません。心のフィルムに焼付けようとしたのです。
永遠はある、いや、ない…
永遠はある、いや、ない…
どちらなのかはわかりませんが、何かに焼き付けないとそのまま消えてしまうのは間違いありません。
この映画で私が一番好きなシーンです。
齋藤真衡
Happy Ending カード No.F-3 「遺影の準備」