映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」エピソード5:たまたま

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」は一つの映画とはいえ、織り込まれたエピソードが素晴らしいので、数回に分けてそのエピソードをご紹介しています。

デイジーの交通事故は、世の中に起こることの原因を突き止めることが困難であること、すなわち、ほとんどはたまたまであること、さらに、今の不運が将来のHappy Endingに繋がる場合があることをわかりやすく伝えてくれます。

デイジー(ケイト・ブランシェット)は踊り子として絶頂期に交通事故に遭ってしまいます。そして、ダンサーとしての生涯を終えるのです。

いつも通りにダンスの稽古を終えて、通りに出たデイジーはタクシーにはねられてしまいます。

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そのタクシーが数秒早くその場を通過しているか、数秒遅く通過していれば、交通事故には遭わなかったのです。映画はその数秒のたまたまを実に詳細に追っていきます。

以下の「なければ…」が全部積み重なってデイジーが通りに出た瞬間にタクシーが通りかかります。もしもが何重にも積み重なった「たまたま」なのです。そこには人間に理解できる原因は何もありません。

・タクシーに乗っていた女性が自宅を出る時に忘れ物をしなければ...
・女性が忘れ物を取りに帰った際に電話がかかってこなければ...
・タクシーの運転手がカフェでお茶を飲んでいなければ...
・通りでトラックがに路をふさがなければ...
・タクシーに乗った女性が商品を予約していた店の店員が失恋していなければ...
・デイジーが一緒に出かけようとしていた友人の靴紐が切れなければ...
・タクシーの運転手が脇見運転をしていなければ…

小さなコトの積み重ねが人生を狂わす重大な出来事に発展します
アマゾンで羽ばたく蝶が、カリブ海のハリケーンに発展するように

とは言っても、実はこんなことは日常茶飯事なのです。
重大な結果が発生した時だけ大騒ぎ….
そんな時には、いつも「想定外」とか「たまたま」という片付け方がされます。

しかしながら、この事故がなければ、デイジーがバレエをやめ、付き合っていたダンサーと別れ、ベンジャミンの元に帰っていくことはなかったのです。

Happy Ending!!

わからないものです。
何が良いか、その時点では
時間の経過とともにその評価は変化していきます。

 齋藤真衡

<Happy Ending カード No.A-8 ネットワークの見直し>
デイジーの事故を聞いたベンジャミンはニューオーリンズからパリに飛びます。そして、何日もデイジーを近くで見守るのです。事故はベンジャミンの気持ちを少しも変えることはありませんでした。

困った時に本当の友情がわかります。

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