“最期のとき”を決められない ~延命をめぐる葛藤~ NHKクローズアップ現代(2014/11/19)

NHKクローズアップ現代にて“最期のとき”を決められない ?~延命をめぐる葛藤~ が放映されました。(2014.11.19)患者そして医師をとりまく延命治療の現状についてのリアルなレポートでした。(関心のある方はNHKオンデマンド(有料)でご覧ください。)

東京板橋区の木村病院における終末期の男性、女性二人の患者のケースが紹介されています。

女性患者はあらかじめ、尊厳死の宣言を行っていました。木村病院では患者の役割として、治療方針の自己決定を求め、その方針を文書で取り付けているのです。その結果、この女性患者は延命医療を行わないという治療方針をすでに自己決定していました。そして、親族も本人の意思を追認したため、延命治療は中止され、本人は間もなく亡くなりました。

一方、男性患者は、尊厳死の宣言をしていませんでした。脳梗塞で路上で倒れ、治療方針を自己決定することはすでに不可能でした。そこで医師が電話で親族に意思を確認したところ、親族は延命治療の中止に賛成しました。しかし、その親族は本人と疎遠で何十年も会っていなかったのです。親族といえども本人の意思を推定できる立場ではなかったでしょう。結果として、病院は男性患者の延命治療を継続することにしました。本人がこのままいつまで生き続けるのかはわかりません。

木村医師の言葉が印象的です。

「自分で自分の最期を決める権利というのはあるわけですから、医者が勝手に決めるわけにはいかないんです。生き方も亡くなり方も、勝手にできない。……」

権利の裏側には責任があります。自己決定権は患者あるいは患者になる可能性のある人への責任なのです。

 

・NHKクローズアップ現代HP