映画「母の身終い」 

「自分を失う時」という表現が印象的でした。

「自分を失う」のはいつか?

脳腫瘍を患い、回復の見込みがない母は医師に問いかけますが、医師は余命の告知を拒否します。

時あたかも刑務所で服役していた息子が釈放されて家で同居をはじめます。しかし、二人の中はしっくりと行きません。

そして、突然床に倒れて死ぬのはいやだという彼女は、スイスの安楽死を助ける団体に安楽死の申込みをするのです。

フランスでは安楽死はできません。プランスでは刑事罰に問われる自殺幇助がスイスでは合法化されているというのです。

彼女の大きなジグソーパズルがだんだんと組み上がって行きます。それは暇つぶしではなく、彼女の人生の砂時計でした。

そして、最期の1ピースをはめ込んで完成させ、息子とともにスイスに向けて旅発ちます。

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スイスの団体の施設に到着すると、あっと言う間です。
担当者が薬を渡して出て行きます。
コップに注がれた薬を飲み干した後に、ベッドに腰掛ける不仲だった息子を突如抱き寄せて「愛してる」と…
息子も「愛している….」と言って母を抱きしめました。

彼女は自分を失う時を自分で決めたことによって、最期の別れと和解を不仲であった息子とすることができたのです。
安楽死に対する見解は様々だと思いますが、このような選択肢があることは事実です。

 

長尾和宏先生のスイスの安楽死施設を訪問されたレポートが参考になります。

→ 自ら尊厳死を選ぶ家「デイグニタス」

 

<Happy Ending カード No.C-3 死に場所>

最期の挨拶ができるのは素晴らしいことです。

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